ご挨拶



 私が2012年に第5代理事長に就任して、本年で10年になりました。
 常に祈りをもって支えて下さる皆様のご支援とご協力に対し、感謝と御礼を心から申し上げます。
 私は、2012年の理事長就任にあたり、『ともに祈り、ともに最善をつくす』を心構えとして、『一流のキリスト教学校』を目標としてまいりました。その間、建学の精神 『敬神・愛人』を具体化し、学院の内外に、宣教するために、2014年には、ミッションステートメントを制定、交付しました。
 2020年には横須賀学院創立70周年を祝し、記念事業として、 カフェテリアを新築し、2022年には、待望のパイプオルガンを礼拝堂に奉献しました。
 理事長の役割は、横須賀学院法人の経営、運営が主たる仕事ではありますが、その内容は教育の面と深く関わっているため、小中高の校長を中心として、常務理事会、評議員会、理事会の御支援を頂いています。特に、学院の寄付行為に定めるキリスト教教育については、創立者達の祈りと、思いを受け継いで、理事長として深い関心を持ち、常務理事会等にて意見を述べさせて頂いています。
 さてこの3年間、私たちは、新形コロナウイルスのパンデミックの恐怖のなかにさらされています。幾分停滞の感もあり、コロナとの共存も言われていますが、教育の現場は引き続き、厳しい環境の下におかれ、苦労が継続しています。私たちはこの難局を、教育の質を低下させることなく、「一流のキリスト教学校」を完成させなければなりません。 


詩編 91篇の3節から13節には次のように力強い言葉が記されています。  
この言葉によって、力と勇気を頂いて、共に、励んでまいりましょう。

『神はあなたを救い出してくださる。
仕掛けられた罠から、陥れる言葉から。
神は羽をもってあなたを覆い
翼の下にかばってくださる。
神のまことは大盾、 小盾。
夜、脅かすものをも
昼、 飛んで来る矢をも、恐れることはない。
暗黒の中を行く疫病も
真昼に襲う病魔も
あなたの傍らに一千人の人
あなたの右に一万の人が倒れるときすらあなたを襲うことはない。
あなたの目が、それを眺めるのみ。
神に逆らう者の受ける報いを見ているのみ。
あなたは主を避けどころとし
いと高き神を宿るところとした。
あなたには災難もふりかかることがなく
天幕には疫病も触れることがない。
主はあなたのために、 御使いに命じて
あなたの道のどこにおいても守らせてくださる。
彼らはあなたをその手にのせて運び
足が石に当たらないように守る。
あなたは獅子と毒蛇を踏みにじり
獅子の子と大蛇を踏んで行く。』

と、 詩編にはあります。
 この聖書の言葉を信じて、 皆様と共に、 引き続き励んで参りたいと存じます。

 海風が吹き抜ける横須賀学院のキャンパスでは、6歳の小学校1年生から成人を迎える高校3年生までの児童・生徒が学校生活を送っています。年の差が12年ある男女共学校。その多様性が横須賀学院の特徴のひとつです。昼休みになると小学生は歓声を上げながら走り回ります。中高生はボール遊びに興じたり学習室や図書館で勉強したり、カフェテリアやキャンパス内に置かれたベンチで歓談したりと、それぞれお気に入りの場所で過ごします。基本的に学校区分によって生活していますから直接関わる機会はそう多くないとしても、互いに意識しながら過ごすところに意義があります。小学生は中高生の姿に自分の将来を写すことがあることでしょう。中高生は小学生の様子に、かつての自分を見て親しみを感じているようです。キャンパス内の多様性が、個性の違いを積極的に肯定する横須賀学院ならではの教育環境を醸し出しています。
 朝、学校や学年ごとに定められたチャペル礼拝の時間になると、パイプオルガンの音色に導かれながら児童・生徒が入場してきます。創立60周年を記念して建築されたチャペル棟の大チャペルは、古代ギリシア・ローマ時代の劇場を思わせる放射状の座席配置で、後方の座席は緩やかな傾斜によって少しずつ高くなっているため、各通路は前後の幅が広い階段になっています。入学して間もない小学校1年生は、聖書と讃美歌を手にしてその階段をぴょんぴょん飛ぶように入場してきます。小中高いずれのチャペル礼拝も厳かな雰囲気に包まれ、児童生徒と教職員がステージ中央にある講壇に立つ担当者と向きあって時と空間を共有します。声をあわせて賛美歌を歌い、聖書に導かれたメッセージに耳を傾けることによって、ごく自然に横須賀学院のアイデンティティが養われます。
 今後も時代や社会構造の変化によって不確実性は一層高まることでしょう。先が見えにくい次代を担うためには先進の知識やスキルを習得することは勿論重要ですが、それをどのように用いるかを決定する一人ひとりの人間性や価値観が更に問われるに違いありません。
 横須賀学院は、揺らぐことがない「敬神・愛人」という基本精神によって人間性の中心に「いのちの尊厳」と「愛」を据え、世界の隣人と共に生きる心豊かな人間の育成を目指します。

 《横須賀学院ミッションステートメント》
 横須賀学院は
 キリスト教の信仰に基づく教育によって
 神の前に誠実に生き 
 真理を追い求め 
 愛と奉仕の精神をもって
 社会に 世界に対して 
 自らの使命を果たす 
 人間の育成を目指します

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