(2009年度 横須賀学院高等学校 入学式 校長式辞 原稿)
新入生諸君に
君たちには賜物(タラント)を磨き、使命(ミッション)を自覚する義務がある
隣人愛を実践できる意欲と実力を培い、人格の完成を目指す生涯を歩もう
中学校・高等学校  校長 藤野利夫
●素晴らしいお天気に恵まれました。正しく、皆さんを祝福しています。
昨年の入学式は横浜気象台5時過ぎの発表で、五つの注意報、大雨・雷・強風・波浪・洪水注意報が出され、8時直前には、神奈川県東部に、大雨・洪水警報発令の悪天候でした。嵐の入学式となりました。しかし今年の晴天も昨年の、荒天をも、私たちは喜んで受け入れましょう。私たちは、その日のお天気一つ、自分たちの思い通りにはならないのです。その与えられた条件の中で、最善を尽くす努力が求められるのです。

● 新入生を心より歓迎する
横須賀学院に入学された諸君、君たちを心より歓迎します。これから始まる3年間(中高一貫生は6年間)は、二度と繰り返すことの出来ない、本当に大切な、青春真只中の年代です。一生の内でも、最も感受性が豊かで、頭も体も心もしなやかな年代です。恐らく、長い生涯で最も重要な、人生の方向性を決定付ける重大な期間となります。その高校生活を、この横須賀学院というで学ぶこととした君たちの決意を、全身全霊で、重く受け止めたいと思います。そして、それを可能とする保護者の皆様のご支援を、心より感謝します。

●オリエンテーション
入学式前には、オリエンテーションを実施しました。中高一貫クラスは、キリス人ト教の礼拝・讃美歌の歌い方その他、については小学校からの9年間・中学からの3年間、毎日経験してきたので、義務教育を終えて、高等学校で学ぶことの意義、高校生活の教科の学習や生活のルールについて、学校の中で、実施しました。高校からの生徒たちは、奇数クラスと偶数クラスに分かれて、伊豆の天城山荘で実施しました。
だから、全員が一堂に会して集うのは、本日が初めてです。この中には、学院中学からの内部進学の人たち、学院第一志望の推薦入学の人たち、公立との併願で学院は第二志望の人たちがいます。合格して、嬉しくて嬉しくてしようがない人もいれば、まだ、不本意な気持ちを持ち続けている人もいるかも知れません。それで良いのです。
辛い経験を忘れることは出来ないし、忘れる必要はありません。しかし、何時までもそのことだけに拘り続けるのはいけません、今日、この日から始まる高校生活に、真正面から取り組むことが出来ない言い訳や口実にしては、なりません。むしろ、再スタートを決意する、良い契機にしてください、
恐らく、一生涯の親友となる人が、この中にいるはずです。素晴らしい出会いの時を迎えたと信じます。横須賀学院は、君たち全員を、大歓迎です。中高一貫クラス、3クラス。選抜クラス、3クラス。一般クラス、7クラス。合計13クラスでスタートします。

● 第56期生の遺したものは、創設者の言葉に通じる 本気のチャレンジ
丁度1カ月前に、このチャペルで56期の卒業式が挙行されました。第56期生の在籍した3年間(6年間)は、創立50周年から60周年に向かう、横須賀学院の大変革の真只中でした。中高一貫クラス・選抜クラス・一般(文理総合)クラスそれぞれに、そして学校全体の様々な分野で、高い目標を掲げて挑戦する機運が醸し出され、自由でのびのびした校風の中に、『上を目指す』善き気風が着実に定着しつつあります。他人との比較や順位などではなく、自らの内なる課題克服の気概の充満、これは56期卒業生が後輩たちに遺した一番の財産だと思います。一言で言えば、克己心・限りなき向上心・自分自身へのチャレンジの姿勢です。これが、学院の自由な校風に付け加わりました。

「自己の限界を知るところから、人生の謙遜が生まれる。最も深い謙遜から、最も高い人格が萌え出てくる」
2004年12月に、94歳で天に召された敬虔なるクリスチャン・初代院長武部啓(たけべひらき)先生の言葉です。創設直後の10年間、小学校・中学校・高等学校の校長を兼務し、児童生徒の誰からも敬愛されていました。
「教育は、希望です」 3代目院長松尾造酒蔵(まつおみきぞう)先生は、入学式や卒業式の度に、次代を担う若き生徒たちへ、溢れんばかりの期待を込めて語りました。横須賀学院の創設に、文字通り奔走された牧師・宗教家です。
大勢の生徒たちが文武両道を実践し、武部初代院長の言葉通り、謙虚な姿勢で学校生活に取り組んだことは、嬉しいことでした。その姿勢は、正しく、松尾先生の語られた「希望」そのものでした。

● 特筆される生徒諸活動・国際交流・文化祭・沖縄体験学習・クラブ活動
世界武術での2種目制覇、2年連続の横須賀市姉妹都市交換学生の選出。男子ソフトボールの22年ぶり県大会優勝。
スポーツなど生徒の諸活動の各分野で、目覚しい活躍がありました。夏のインターハイや全国大会・秋の国民体育大会への出場だけでなく、着実な全体的な底上げがありました。毎年7月を軸に展開される横三地区高校総合体育大会は、この地区24の高校のスポーツの祭典です。2006年度は男子総合準優勝・女子総合優勝、そして2007年度は男子総合優勝・女子総合準優勝に輝きました。2008年度も男女とも上位進出をしました。これは、一部のクラブだけでなく、学院全体に生徒のバイタリテイが満ちていることの証左です。
ツリー点灯式に始まるクリスマス行事は、小学校・中学校・高等学校を擁する横須賀学院を挙げて取り組みます。よこすか芸術劇場を会場にしたメサイア公演では、学院関係者のみでなく、大勢の市民の方と喜びを共にしました。感謝です。

● 目覚しい進路実績は賞賛に値する 東北大学・大阪大学など、旧帝大にも合格。
高校生活で最も重要な進路実現に関して、自らの高い目標を目指してチャレンジする気風が大きく広がりました。国公立大学や早稲田・慶応義塾などのいわゆる難関私立大学や、明治・青山学院・立教・中央・法政のMARCHや東京理科大などに果敢に挑み、合格者が多数出ています。キリスト教大学には、青山学院・明治学院・関東学院・立教を含めて、毎年150名以上が合格します。学院を特徴付ける進路傾向(トレンド)です。就職は、横須賀市消防局・神奈川県警・民間企業6など、難関の試験を突破して栄冠を勝ち取りました。『ニート』つまり、就職もせず、職業選択のための教育も訓練も受けない卒業生は、皆無に近い状況です。その進路選択の意識性の高さは、嬉しい限りです。
学院の新しい進路傾向は、指定校推薦を含めた推薦入試を活用するだけでなく、一般入試での合格者の割合が格段に増えていることです。一貫クラス・選抜クラス・一般(文理総合)クラスの別に関わらず、大学受験に正面からチャレンジしました。毎週金曜日に発行される『進路通信』の合格体験記は頼もしい限りです。「夏休みには、毎日10数時間勉強しました」と、当然のように振り返り、「2年生の早い内から、本気になれよ。学校の授業を大切にしろよ」と、後輩たちにアドバイスします。将来に備えて学習に励むのが、高校生の本分です。この経験は、後輩たちへの何よりの置き土産と言えます。

● 横須賀学院は、君たちに何を求めるのか?
さて、新入生諸君。君たちが入学を許可された横須賀学院は、『敬神・愛人』という建学の精神を掲げ、キリスト教教育を実践する学校です。それは、人格の完成を目指す普遍的理念に基づく教育でもあります。毎日、礼拝を行なう学校です。「如何に生きるべきか」を、毎日問い掛け続ける学校です。そして、どこよりも授業を根幹に据え、クラブ活動やボランテイアや生徒会活動を重視する高校らしい学校でありたいと思います。
君たちには、「自らに与えられたタラント(賜物・天分)を見出して、磨き、生かす義務がある」と、訴えたい。「尊ぶべきたった1回の人生です、ミッション(天命・使命)を自覚しつつ、隣人愛を実践できる意欲と実力を培い、隣人愛の実践、つまり他者に尽くすことにより、自己実現・人格の完成を目指す生涯を歩み続けよう」と、呼びかけます。私たちは、生まれる時も、場所も、人種も、目の色・肌の色・髪の毛の色も、自分の思い通りには出来ませんでした。まさしく、与えられた命・人生です。だからこそ、主体的に、誠実に生き抜いて欲しいのです。本気で学んで欲しいのです。

● 真摯な取り組みの中から、人格の完成を目指す準備を整えよう
君たちには、格段の進路結果を出して欲しい、と願います。しかし、その結果を3年後の卒業時に出せ、という訳ではありません。君たちが、その生涯を閉じる時、キリスト教学校である横須賀学院での学びの意味が問われるのだ、と信じます。
高校生活は3年間です。与えられた人生を、如何に生きるべきか。その決意を固め、真の実力を養う時です。将来に向けて、今、何を為すべきかを自発的に選択してください。消極的な考え方を採らずに、積極的な生き方を選んでください。高校生らしく、大きな夢を抱き、高い目標を打ち立て、毎日の学習や読書に励んでください。クラブ活動の場で、先輩・後輩との交流を深め、特技を伸ばしてください。ボランテイア活動に心を寄せ汗を流し、理想について友と本気で語り合ってください。高校3年間の真摯な取り組みの中から、自らに与えられたタラント(賜物)を磨き、ミッション(使命)を自覚しつつ、隣人愛の実践、つまり他者に尽くすことにより自己実現・人格の完成を目指す生涯を歩む準備を整えるよう、切に祈ります。

●保護者の皆様に感謝とお願い
さて、最後になりましたが、大切な大切なお子様を、そして中高6年間・高校3年間という人生で最も重要な成長期・学習期を、この横須賀学院に託された保護者の皆様。本当にありがとうございます。創設以来半世紀を経過し、60周年直前。原点を踏まえつつ、様々に変革の時、を迎えています。保護者の皆様にも、一層のご理解とご協力をお願い致します。より良い信頼関係を築き上げていきたいと願います。宜しく、お願い申し上げます。
あらためまして、ご入学おめでとうございます。心より祝福し、歓迎いたします。

2009年4月